近年、ブランド品の中古市場は世界的に拡大を続けています。こうした中で、2025年は円安やインフレ、そして海外需要の高まりが重なり、ブランド品の買取相場が全体的に上昇しています。新品の価格改定も相次いでおり、中古品の価値を押し上げる大きな要因となっています。
矢野経済研究所の調査によると、国内のファッションリユース市場は2023年時点でも約1兆1,500億円規模に達しており、過去最高を更新しています。
日本国内の中古ブランド市場の成長推移
| 年度 | 市場規模(推計) | 前年比 | 出典 | 
|---|---|---|---|
| 2022年 | 約1兆0,100億円(※推定) | ― | ― | 
| 2023年 | 約1兆1,500億円 | +13.9% | 矢野経済研究所 | 
| 2024年(予測) | 約1兆2,800億円 | +11.3% | 矢野経済研究所 | 
本記事では、2025年に「高く売れるブランド」をテーマに、相場が上がっている背景や人気ブランドの傾向をわかりやすく解説します。さらに、ブランド価値が維持・上昇しやすい理由や、査定で高評価を得やすいアイテムの特徴も紹介。
「なぜ今、中古ブランド市場が盛り上がっているのか?」を理解することで、ブランド品の価値を見極める力が身につき、売る・持つ・買い替える判断にも役立つ知識が得られます。
中古市場の価格が高騰してブランドが高く売れる
ここ数年、ブランド品の中古市場では価格の上昇が続いています。とくに2024年後半から2025年にかけては、世界的なインフレや円安、そして海外からの需要拡大が重なり、ブランド品が「今までより高く売れる」状態が続いています。新品の価格上昇も相まって中古市場の価値が相対的に高まり、「中古=お得で賢い買い物」という認識が広がっています。
結果として、状態の良い人気ブランド品は買取価格が数年前より1.2〜1.5倍に上昇しているケースも珍しくありません。ここでは、その背景を3つの視点から詳しく見ていきます。
ここでは、2025年のブランド品市場で価格高騰が続く3つの主な理由を詳しく解説します。
円安と価格改定による新品価格の上昇が影響している
円安の影響により、海外ブランドの国内定価はここ数年で大幅に上がっています。特にルイ・ヴィトンやエルメス、シャネルなどは年に数回の値上げを行っており、定価が10〜30%上昇したモデルも存在します。
このような状況では、新品を購入するハードルが上がるため、「中古でも良いから欲しい」という購買層が増加。需要が急激に高まることで、買取価格も比例して上昇しています。
また、値上げ前に購入したアイテムを今売却すると、購入時より高値がつくケースもあり、“値上げ=中古市場の価格上昇”という構図が定着しています。ブランドの価格改定は今後も継続が見込まれており、高級ブランドの中古相場がすぐに下がる可能性は低いといえるでしょう。
海外バイヤーによる中古ブランド需要の拡大
日本の中古ブランド市場は、海外バイヤーの注目を集めています。円安によって日本の中古品が海外から見て割安になり、中国・韓国・アメリカなどのバイヤーが日本国内で大量に買い付けを行うようになりました。
とくに状態の良いアイテムやレアモデルは、国内市場での競争が激化し、相場を押し上げる要因となっています。さらに、日本人の中古品は品質管理が丁寧で状態が良いため、海外では「Made in Japanの中古」として信頼されるブランドカテゴリーを確立。
結果として、人気モデルは国内外で取り合いになり、在庫が減少。その希少性がさらに価格を高騰させています。海外需要は今後も拡大傾向にあり、国際的な流通の変化が中古市場全体の価値を底上げしています。
環境意識の高まりで中古ブランドの需要が急増
ここ数年で、消費者の間に「良いものを長く使う」「再利用して資源を大切にする」という考え方が広まり、サステナブル志向が定着しました。新品を買うことよりも、品質の良い中古品を選ぶことが“環境にも優しい行動”として評価され、若年層を中心に中古ブランドを購入する人が急増しています。
また、SNSやメディアの影響で「中古=おしゃれでスマート」というイメージが浸透し、ヴィンテージモデルの再ブームも起きています。さらにルイ・ヴィトンやグッチなど一部ブランドでは、公式が中古再販サービスを展開する動きも見られ、中古流通の価値がブランド戦略の一部になりつつあります。こうしたトレンドの変化が、中古ブランド品の需要を持続的に高め、価格を支えているのです。
高く売れるブランド5選を紹介
2025年の中古ブランド市場では、依然としてハイブランド中心の人気が続いています。なかでも、エルメス・シャネル・ルイヴィトンの三大ブランドは相場が安定して高く、価格改定や海外需要の影響を最も強く受けています。加えて、ここ数年でトレンドが再燃しているグッチや、手頃な価格帯ながら買取市場で注目度を上げているコーチも見逃せません。
これらのブランドは、いずれも「ブランドとしての信頼性」「流通量」「再販需要」が高いという共通点を持っています。この章では、2025年に特に高価買取が期待できるブランド5選を詳しく見ていきましょう。
それぞれ順に解説します。
シャネル|ヴィンテージ人気と値上げで中古価格が高騰
シャネルはここ数年、定価の値上げが続いており、それに伴って中古価格も上昇しています。特に「マトラッセ」や「チェーンショルダー」などの定番シリーズは世界的に人気が高く、状態が良ければ高値で取引されます。加えて、ヴィンテージブームの影響で90年代〜2000年代の旧モデルが再評価され、若い世代からも注目を集めています。シャネルの特徴は、トレンドに左右されにくく“資産価値を持つブランド”として認識されている点。
限定カラーや希少デザインはプレミアがつきやすく、使用感があっても査定対象になるケースが多いです。今後も価格改定の流れは続くと見られるため、2025年は高値維持が期待できる年になるでしょう。

エルメス|希少性と資産価値の高さで相場が上昇
ブランド買取市場の王者ともいえるエルメスは、2025年も圧倒的な高値を維持しています。特に「バーキン」や「ケリー」などのアイコンバッグは流通数が少なく、需要が供給を上回る状態が続いています。新品の入手難易度が極めて高いため、中古品でも状態が良ければ定価を超える価格で取引されることも。素材やカラーによって査定額の幅はあるものの、エトゥープやゴールドなどの定番色は海外でも人気が高く、安定した高評価を得ています。
さらに、エルメスは年々価格改定を行っており、「早く手放すほど得をする」という逆転現象も起きています。長期的にも価値が下がりにくいブランドのため、手放す際には複数業者の見積もりを比較することで、より高額査定を狙えます。
ルイ・ヴィトン|世界的なブランド力で相場が安定
ルイ・ヴィトンは世界的に知名度が高く、中古市場でも最も流通量が多いブランドのひとつです。それでも価格が落ちにくいのは、ブランドそのものの信頼性と市場の厚みがあるから。モノグラムやダミエといった定番ラインは安定して高値を維持しており、特にコラボモデルや限定デザインは入手困難なため高額で取引されます。ヴィトンはどんな状態の品でも買取対象になるケースが多く、「古くても価値があるブランド」として幅広い層に支持されています。
また、2024年以降の価格改定によって新品価格が上がった影響で、中古相場も底上げされており、使用感があるバッグでも驚くような査定額がつくこともあります。買取市場におけるヴィトンの存在感は、2025年も健在です。
グッチ|リバイバル人気で中古需要が再燃
ファッション業界全体で90〜2000年代のデザインが再注目されており、その流れに乗ってグッチの中古需要が急上昇しています。特に「GGマーモント」「ホースビット」などのアイテムは、現行モデルだけでなく過去シリーズにも人気が集中。近年は若い世代にもファンが増え、SNSでの露出増加が相場上昇を後押ししています。
また、グッチは限定コレクションやコラボアイテムが多く、販売期間が短いことから中古市場での希少価値が高くなりやすいブランド。状態が良いものはもちろん、使用感があっても人気ラインなら高値がつく可能性があります。流行の変化が早いブランドでもあるため、人気がピークのうちに売却するのが得策です。
コーチ|手頃な価格帯でも査定アップが狙える注目株
コーチはハイブランドの中では比較的手の届きやすい価格帯ですが、2025年は買取市場で評価が高まっています。理由の一つは、ヴィンテージ風デザインやコラボラインのヒットにより、若年層の人気が上昇していること。状態の良いバッグや限定コレクションは、数年前よりも明らかに高い査定がついています。
コーチの強みは、購入層が広く、流通量が多いこと。特に、廃盤カラーや限定コラボは希少性が高く、査定額アップが期待できます。中古市場では“使いやすく長持ちするブランド”としての信頼が浸透しており、安定した取引が続いています。ハイブランドと比べて相場の波が穏やかなため、コンディションの良い時期に売却することで、想定以上の高値になるケースも少なくありません。

ブランド価値が上がる理由と共通点
2025年の中古市場では、一部のブランドが他よりも明確に高値を維持しています。単なる人気や流行だけでなく、ブランドが持つ戦略的な価値設計や、市場での流通構造にも理由があります。
特に、希少性の高さ・ブランド力の維持戦略・中古市場の拡大という3つの要素が複合的に働くことで、ブランドの価値が上がり続けているのです。ここでは、それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
それぞれ順に解説します。
供給数を絞った希少性が中古価格を押し上げる
ブランド価値を支える最も大きな要素の一つが「希少性」です。エルメスやシャネルのように生産数を意図的に制限しているブランドは、需要に対して供給が常に不足しており、その結果として中古市場での価格が上昇します。
特に、限定モデルやカラーは年を経るごとに市場から姿を消し、コレクター需要が集中。新品の購入が難しい状況が続くほど、「中古でも手に入れたい」という層が増えるため、相場が下がることはほとんどありません。
また、希少性が高いアイテムほど買取業者間での競争も激しくなり、自然と査定額が吊り上がる構造になっています。ブランドが意図的に希少性を保つことは、単なる販売戦略ではなく、結果的に中古市場全体の価値を底上げしているのです。
ブランド戦略による価値コントロールと価格維持
近年のハイブランドは、「値上げ=ブランド価値の維持」という戦略を取る傾向が強まっています。エルメスやルイ・ヴィトンは、定期的に定価を引き上げることで“価格が下がらないブランド”という印象を作り出しています。
こうした戦略により、中古品であっても「安売りされないブランド」としての信頼が保たれるのです。さらに、販売チャネルを限定し、流通管理を徹底することで、市場に出回る商品数をコントロールしている点もポイント。ブランドが“あえて買いづらくする”ことが、結果的に中古市場での高値維持に直結しています。
このように、ブランド自体が市場の需給を戦略的に操ることで、持続的に価値を高める循環を生み出しているのです。
再販市場の成長がブランド価値を支える新たな柱に
ここ数年で、ブランド品の「再販市場」は大きく進化しました。リユース業界の信頼性が高まり、オンライン査定・宅配買取・認定中古などの仕組みが整ったことで、ユーザーが安心して中古ブランド品を取引できる環境が整っています。
加えて、ブランド自体が公式に中古販売を展開するケースも増え、グッチやプラダ、バーバリーなどは自社でリセールプログラムを開始。こうした動きにより、ブランド品の中古流通が“二次的な市場”から“正規の価値循環”へと格上げされました。
結果として、良質な中古品に再び注目が集まり、「新品を買わなくても価値あるものを持てる」という意識が広がっています。再販市場の成熟は、ブランド価値の持続に欠かせない新たな要素になっているのです。
買取相場の動きを見極めるポイント
ブランド品の買取価格は常に一定ではなく、市場の動きや流行、季節によっても変化します。特に2025年は、為替相場の影響や世界的な物価上昇、そしてSNSを中心としたトレンドの拡散スピードが速まっているため、相場の動きがよりダイナミックになっています。
買取で損をしないためには、「どのタイミングで相場が上がるのか」「何を基準に査定額が変わるのか」を理解しておくことが重要です。
ここでは、相場を見極めるうえで押さえておきたい3つのポイントを詳しく解説します。
ブランドの価格改定と連動して中古相場が動く
もっともわかりやすい相場の変動要因は、ブランド側が行う価格改定です。たとえばルイ・ヴィトンやシャネル、エルメスなどのハイブランドは、為替や原材料費の高騰を理由に年に数回の値上げを実施しています。
新品価格が上がると「中古でもいいから今買いたい」という需要が高まり、それに合わせて買取相場も上昇する仕組みです。実際に、2024年以降は値上げ前よりも平均で10〜15%ほど中古価格が上がったブランドもあります。
反対に、値上げが落ち着いたブランドや、シーズンごとに大量生産されるファッション系ブランドでは相場が下がりやすい傾向にあります。つまり、ブランドの公式発表や定価改定のニュースをチェックすることが、買取相場を読む最初のヒントになるのです。
ブランド相場は流行やメディア露出で需要が高まる
ブランド相場は、トレンドの影響を強く受けます。特定のモデルが芸能人やインフルエンサーの着用で話題になると、一時的に需要が急増し、買取価格が跳ね上がるケースも珍しくありません。たとえば、過去には人気ドラマやSNSで取り上げられたことで、一部バッグやアクセサリーが定価以上の相場に上がった例もあります。
ブランドの人気は常に循環しており、「流行が再燃するタイミング」を掴めるかどうかが重要です。特にグッチやディオールなど、ファッション性の高いブランドはこの傾向が顕著。話題性のあるブランドやモデルが注目された直後は、買取相場の“山場”になる可能性が高いため、情報感度を高めておくことが大切です。
ブランドは季節やイベントによって売却タイミングが変わる
ブランド品の相場は、年間を通じて一定ではありません。バッグや財布などの定番アイテムは、ボーナス時期や年末年始の需要期に価格が上がる傾向があります。逆に、需要が落ち着く夏場などは買取価格がやや下がることも。また、クリスマスやバレンタインなどのイベント前は「プレゼント需要」が高まり、特定ブランドの人気モデルが高値で取引されやすくなります。
時計やジュエリーも同様で、季節の節目ごとに査定額が変わるため、売却タイミングをずらすだけで数万円の差が出ることも珍しくありません。「いつ売るか」を意識するだけで、相場の波に乗った賢い売却が実現できるのです。
今後の市場動向と売却タイミングの考え方
2025年のブランド買取市場は、円安やインフレ、そして海外需要の高まりによって引き続き活況が続くと予想されます。新品価格の上昇が中古市場を押し上げ、人気ブランドの相場は高値で安定。
とくに、希少性の高いアイテムや定番ラインを持つブランドほど、長期的に価値を維持しやすい傾向があります。一方で、ファッション性の強いブランドは流行の移り変わりが早く、注目がピークを迎えた直後に相場が落ちることもあるため注意が必要です。
相場の動きを見極めるには、日々のニュースや価格改定情報、海外トレンドをこまめにチェックすることが重要です。SNSや中古取引サイトの価格推移を観察するだけでも、市場の「今」を掴みやすくなります。
最も大切なのは、「売りたい」と思ったときが最適なタイミングである可能性が高いということです。相場を追いすぎてチャンスを逃すよりも、状態が良いうちに行動する方が結果的に高値で売れるケースが多く見られます。2025年は、中古ブランド市場にとって追い風の年。価値あるアイテムを所有しているなら、今の市場動向を理解したうえでベストな判断をしていきましょう。

